[用語整理] 持久力

 持久力とは？

持久力とは、ある行為を長時間持ちこたえる力を意味します。

しばしば過小評価されているものの、人間の身体能力の中で他の動物に比べて最も優れた能力がこの持久力です。運動力学的な側面からみると2足歩行が4足歩行よりも効率的であり、燃費が良いです。訓練された人間は、数時間以上の継続的な走りと泳ぎができ、それよりも長い間、歩き続けることが可能です。特に両手が空いているため、移動中でも水分補充と食事など他の動作が可能です。狩猟採集文明のハンターたちが自分より強い動物を狩る方法が、持久力を活用して長時間追跡し続ける方式なのです。よく鍛えられた大人の男性であれば、アフリカの草原で獲物が疲れ果てるまで追撃することができる位です。何回かの投槍と獲物を追いかけるだけでも殆どの陸上動物は狩る事ができ、これこそが古代人類の狩りでした。

人間に比べるほど持久力が優れている動物では、馬が代表的です。汗血馬のような名馬を評価する基準は、以外と速度ではなくより長距離を走れる持久力でした。人間の家畜はほとんど持久力が良い方ですが、犬やラクダ、ロバなどが飼いならされたのも、彼らの持久力が強く長い間働くことができるからです。特にラクダはこぶの脂肪を栄養的に活用することで、水を飲まず、一日に150km以上も移動することができます。また家畜ではありませんが、ダチョウも持久力が非常に高い方です。

しかし、この動物たちも限界は明確です。オオカミやマルラミュトゥなども持久力が優れていますが、彼らは体に汗腺がほとんどなく、冬限定でその持久力を発揮することができます。熱い日になると舌を長く伸ばし、体を冷やすことに精一杯です。馬も立場はさほど変わりません。中世期の戦争において騎兵突撃は最初から全速力で飛ばす訳ではなく、トロット・キャンター・ギャロップに区間を分けて速度を調節しながら突進したのも、馬の持久力に限界があったからです。またイギリスのウェールズでは毎年人間と馬の35kmマラソン大会が開かれるが、ここで人間が優勝するケースもたまにあります。この大会では10km以内の短距離では馬が圧倒的に早いですが、30kmを超えると馬の持久力が落ちて人間に出し抜かれる場合があります。もしレース区間を50km程度に伸ばすと、人間がほぼ確実に勝つそうです。

 

また、直接的な持久力には関係ありませんが、回復力においても人間は意外と思ったより優れた能力を持つ方です。例えば、人間はスプリントをした後もある程度の休憩を取れば、すぐ体力が回復されます。しかし4足歩行の動物たちの場合は、スプリントをした後に体力が完全に回復するのに、人間よりも長い時間の休憩を必要とします。こういう状況なので、人間に狩られる動物の立場からみると持久力も回復力も抜群の狩人たちが休む暇も与えず追いかけられるという状況になります。この状況が続くと、やがて動物の体力は底を切り、まともに反抗もできない状況になってしまうのです。