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沖縄の経済は、3次産業の中でも観光の比重が高く、食材や一般製品さえも本土からの輸入に依存しています。なので沖縄の経済は、せっかく稼いだ観光収入を本土側に漏らしてしまう、いわゆる「ザル経済」だと指摘されています。興味深いところは、製造業における原材料の殆どを日本から輸入に頼る韓国の輸出構造と、全く同じ形である事です。韓国では自国製品の輸出を拡大し、稼げば稼ぐ程、その利益の殆どを日本に奪われてしまう、韓国の輸出構造を「鵜経済」だと呼んでいます。
1. 沖縄と韓国の経済的背景の共通点
2. 沖縄と韓国の経済的背景の相違点
3. 沖縄の経済にとって、韓国式経済発展モデルが持つ意味
沖縄と韓国の経済的背景の共通点
沖縄では太平洋戦争によって、10万人以上の民間人が犠牲になりました。農地は荒らされ、終戦後も米軍基地の建設によって多くの農地を半強制的に徴発されただけでなく、米軍の駐屯によって様々な環境汚染・治安悪化を余儀なくされるなど、数々の直・間接的な被害を受けました。さらに、それまで1次産業に基づいていた沖縄の経済構造は、米軍基地の存在によって、米軍に依存する方に変形されてしまいました。これに対し、本土側は在日米軍による防衛上の便益を満喫しながらも、在日米軍駐屯に伴う被害は、沖縄に被せてきました。
これは、韓国によく似ている背景です。韓国も朝鮮戦争のせいで、韓国と北朝鮮を合わせて約500万人以上の死傷者が発生し、3年間続いたの総力戦の挙句、国土の殆どが廃墟になってしまいました。その後も冷戦が続き、徴兵制による莫大な社会的機会費用の発生を余儀なくされました。これにとどまらず、在韓米軍の存在によって、環境汚染・治安悪化など米軍駐屯による問題を、沖縄と同じように経験してきました。さらに終戦直後も、大した産業がなくODAやアメリカからの援助に頼んでいた時期もありました。
沖縄と韓国の経済的背景の相違点
一方、違ったところは、2次産業の育成のやり方でした。米軍統治時期、沖縄でも米軍基地にばかり依存する経済構造から離れ、自立型経済構造の構築を目指し、製造業を育成していた時期がありました。この時、アメリカの資本の元に、沖縄でのセメント産業が始まり、日本本土側の資本も受け入れ、製糖工場・パイナップル加工工場などを立てました。現存する沖縄の製造企業たちの殆どは、この時期に設立されました。しかし、沖縄だけの需要には限界があり、かと言って本土に進出する位の競争力は付けられ無かったため、最終的にこの成長が停滞してしまいました。
しかし、韓国は外国によって自国の産業を支配されてしまう可能性を恐れていました。1960年から外国人の韓国への直接投資が可能になりましたが、その投資は非常に限定的に許容されました。このように、自国の産業を強く保護・育成するとともに、限定的に受け入れた直接投資を通じては技術導入だけでなく、機械や設備を導入。それをリバースエンジニアリングし、技術を吸収・模倣することで、自らの競争力を高めてきました。その結果、韓国は2次産業の育成に成功し、世界クラスの製造業大国になれました。
沖縄の経済にとって、韓国式経済発展モデルが持つ意味
沖縄が日本に返還された1972年以来、"本土との格差是正"、"民間主導の自立型経済の構築"を目指し、「沖縄振興計画」の名の下に、日本政府は特別措置法を制定し、沖縄の経済の振興策を推進してきました。第1次〜3次までは本土との経済的格差を解消することに重点を置き、道路・学校・港湾などの社会間接資本の拡充に力を入れました。それはある程度の成果を上げましたが、直接的に経済を率いる製造業の場合、その成果は殆ど皆無でした。
製造業は、基本的に多くの企業たちが噛み合ってこそ成立する、非常に複雑な産業です。例えば、ただの釘を作る会社であっても、その原材料を仕入れる仕入先が必要で、加工が完了した後も、需要先まで供給するための流通チェーンが必要とします。それにコーティングや熱処理といった付加価値が必要な場合、それに応じて必要なサプライチェーンはより複雑になります。つまり、製造業を支えるためには、特定規模以上の需要先が必要になってくるのです。
ところで沖縄は人口も少なく、沖縄の需要だけでは複雑な製造業を成り立たせる事には不十分でした。かといって本土に進出し、本土の企業たちと競争するには、時代が違いました。沖縄で製造業が芽生えるその時点で、既に本土企業たちは世界的な競争力を身に着けていた為、競争そのものが成立不可能でした。この状況下で何としても製造業を育てるためには、韓国のような強力な保護政策を取らなければならなかったのですが、これは"民間主導の自立型経済の構築"というそもそもの目的に矛盾する行為だったので、実現不可能でした。つまり、沖縄で本土のような製造業を育成する事は、非常に難しい事だったのです。なので「オリオンビール」みたいに、沖縄での需要だけでも成立する規模の製造業だけが、沖縄で育っているのです。
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