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「ファナック(FANUC Corporation)」はFA設備専門会社であり、工作機械用CNC装備では日本シェア70%・世界シェア50%を占めている世界トップシェア工作機械メーカです。産業用ロボットでも世界シェア20%を占めており、「安川電機(Yaskawa Electric Corporation, Limited)」, 「ABB」, 「KUKA」と共に世界4大産業用ロボット製造会社です。また2017年基準、「ファナック」は平均年収は1,571万円で、これは日本の製造業の中では「Keyence」に次ぐNo.2水準です。連結従業員数は約7,163名です。
1. プロフィール
2. 概要および特徴
3. 主要事業
4. 財務情報
1. プロフィール
※単位は100万円、2018年基準
社名 |
ファナック |
英文社名 |
FANUC Corp. |
設立 |
1972年 |
本社所在地 |
〒401-0597 山梨県南都留郡忍野村[1]忍草字古馬場3580 |
資本金 |
69,000 |
連結売上高 |
635,568 |
連結営業利益 |
163,297 |
連結総資産 |
1,625,340 |
連結総資本 |
1,445,146 |
自己資本比率 |
88.9% |
連結従業員数 |
7,163 |
2. 概要および特徴
1955年、「富士通(Fujitsu Ltd.)」はコンピューター数値制御分野を専門的に扱う子会社を設立、これが現在の「ファナック」の始まりです。創業当時は、自社製数値制御装置を工作機械メーカーである「牧野フライス製作所(Makino Milling Machine Co., Ltd.)」に販売していました。それから1972年にはこのコンピューター数値制御部門が本格的に独立し、「ファナック」が設立されました。当時は、世界10大CNC製造会社は全部アメリカに所在していましたが、1982年に至ると「ファナック」が世界CNC市場の半分を勝ち取ることになります。この時点から「ファナック」の標準がCNC業界の世界標準となり、今でも数多くの工作機械に採用されています。
上記のように、工作機械用CNC装備や産業用を主力製品としている「ファナック」は、研究開発に主力する事で有名な会社で、全体従業員の約3分の1が研究員です。これによって得られる技術的優位性を基に、特許競争力が非常に高いと評価されています。そのスローガンは"壊れない"、"壊れる前に知らせる"、"壊れてもすぐ直せる"であり、このスローガン通り、製品の信頼性が「ファナック」 製品の競争力だと言えます。
このように「ファナック」の強みは製品自体の品質と性能が高いという事です。これを実現するため、研究開発に命をかけており、長期的な受益性確保のため年間5,300億円を研究開発費に使っています。これは競合である「安川電機(Yaskawa Electric Corporation)」の4,000億円の年間研究開発費を上回っている額です。売上対研究開発費の比率でも、「ファナック」が7.9%である一方、「安川電機」は4.6%に過ぎません。また、高い給料を通じて優秀な人材を確保している事も長所の一つです。またサーボモーター・ビジョンセンターなどの自社内で生産しており、自社の工場で自社の産業用ロボットを効率的に活用しています。
また技術漏洩を極端的に警戒し、日本国内生産に拘っている事も特徴です。半製品状態で組立を実施している中国拠点を除けば、山梨県本社工場で全てを生産しています。にもかかわらず、海外売上比重は80%を超えており、特に韓国や中国への輸出が多いのにも関わらず、日本円での支払いのみを受け取っているため、業績において為替率の影響を殆ど受けていないです。2017年には34.3%、2018年には25.6%という利益率を記録しており、製造業の平均利益率が5%代である事を考えると、驚くほど高い水準です。
ちなみに企業カラーは黄色です。実は製品、建物、職員ユニフォーム、独身寮、ホームページの背景、営業車両に至るまで、殆ど全てが黄色になっています。この黄色の由来は「ファナック」がまだ「富士通」の一事業部門であった頃まで遡ります。当時「富士通」は事業部別報告書を区別しやすいように色で分類しており、「ファナック」はそれが黄色だったらしいです。また実質的な「ファナック」の創業者も、黄色を使用する会社は少ないが目立つ色であり"皇帝の色"・""狂った色"・"要注意色"だと思い、黄色を会社の隅々まで徹底的に使用する事になりました。
「ファナック」は理想的な会社に見えますが、かなり異常な部分も持っています。決算説明会を突然中断したり、2011年1月から7月まで日本語のウェブサイトを閉鎖するなど、独善的な行動を取ったことがあります。また、技術漏洩への警戒心が非常に強く、企業としての体質は古く閉鎖的です。まだ昇進・昇格は停滞しており、同規模大手企業のような体系的な新入社員育成制度は無く、創業家一族の権力が極めて強いと言われています。嫌いな人からは、外部から完全隔離された山奥の、黄色だらけの閉鎖的で変な会社だと評価される事もあります。
3. 主要事業
■ CNCモーター
工作機械用CNC装置では、世界シェアの半分を確保しており、特許総合力では世界2位だと評価されています。「ファナック」の競合は、ドイツの「Siemens」や「三菱電機(Mitsubishi Electric Corporation)」,「安川電機」などがあります。工作機械制御において要であるサーボモーターやCNCも同時に販売しており、NCプログラミングにおいては事実上の日本標準になっています。
■ レーザー
金属加工用の炭酸ガスレーザー部門で、世界トップシェアを持っています。最近は光繊維レーザー部門に進出しており、自社のCNC装備や産業用ロボットとの連携を強化し、占有率を拡大を目指しています。2015年には「古河電気工業(Furukawa Electric Co., Ltd.)」と合資し、「FFレーザ株式会社」を設立しました。また2017年には金属3Dプリンター向けの核心装置事業への参入を発表しています。
■ ロボット
「ファナック」は産業用ロボット分野で高い技術力を持っています。アーク溶接などで使用される垂直多関節ロボットを得意としており、大型機種にも対応しています。この垂直多関節ロボット部門での特許競争力は世界最高水準です。
■ ロボマシーン
小型切削加工機、電動射出成型機、超精密ナノ加工機を含め、ロボマシーンと呼びます。このロボマシーンの制御に、「ファナック」は自社製CNCとサーボモーターを使っています。「ファナック」の小型切削加工機械である"ロボドリル(ROBODRILL)"はiPhone のケース加工に使われているため、iPhoneの人気と共に需要が急増し、2010年代以後の「ファナック」の業績を飛躍的に引き上げました。
4. 財務情報
※単位は100万円、2018年基準
|
2016年 |
2017年 |
2018年 |
|
連結売上高 |
536,942 |
726,596 |
635,568 |
|
連結営業利益 |
153,217 |
229,604 |
163,297 |
|
連結総資産 |
1,564,769 |
1,729,080 |
1,625,340 |
|
連結純資産 |
1,369,457 |
1,467,630 |
1,445,146 |
|
売上内訳 |
FA |
175,016 |
222,254 |
211,088 |
ロボット |
190,043 |
227,827 |
217,526 |
|
ロボマシン |
93,939 |
190,182 |
115,056 |
|
サービス |
77,944 |
86,333 |
91,898 |
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