固定為替相場制と変動為替相場制

為替レートは、国際収支をはじめ、国家経済に及ぼす影響が非常に大きいです。また為替レートの急激な変動や、不安定な動きは、国家経済を不安にさせることができます。このため、各国は程度の差はありますが、為替レートを安定させるために力を入れています。外国通貨の価格として、為替レートは外国通貨の需要供給によって決定されるが、政府当局がどうやって為替レートに影響を与えるのでしょうか？

ドルなどの外国通貨に対する需要供給の変化について、自由に為替相場が変動するように放っておく制度を変動為替制度(floating exchange rate system)と呼び、外貨需要供給の変化にもかかわらず、為替レート水準を一定レベルで固定させる制度を固定為替制度(fixed exchange rate system)と呼びます。国際収支の黒字や赤字が発生しているにも関わらず、為替レートを維持するには中央銀行がその該当のドルを購入または売却しなければなりません。 

これによって中央銀行の外国為替市場介入で為替レートを固定されても、国際収支のバランスは長く維持できないので、このような介入は長時間続けることは難しいです。国際収支の赤字が続けば外貨準備高が底をつき、黒字が続けば外貨準備高は増えますが、どちらにしてもバランスが崩れ、インフレリスクに晒されることは同じ事です。このように長く持続される国際収支の不均衡、言い換えれば、根本的な不均衡が発生した場合、当局は為替レートを最初のレベルで固定することができなくなり、為替レートの変化を認めざるを得はなくなります。

 

 

 整理

固定為替相場制は、外国通貨の需要供給に関係なく為替レートを制度的に一定のレベルに縛っておく為替制度です。一方、変動為替相場制は為替レートを外国通貨の需要供給によって決定される、すなわち、市場で自由に決定されるようにする為替レート制度です。